
ポールのベースは歌うベースラインだね!

ベースラインの構築は作曲の一部?なのかな?
曲にバッチリ合うフレーズを演奏するよね♪
今回は「ポールマッカートニーのベースライン」に注目して、”歌うベースライン”の構築を学びたいと思います!

歌うようなメロディックなベースラインから、王道ロックンロールなフレージングまで、ポールのベースからは色や景色が見えます。
この記事では、タブ譜と演奏音源でビートルズのフレーズを紹介♪
僭越ながら筆者なりの分析も加えて解説します。
【今回のポイント】
・ポールマッカートニーのベースライン
・歌うベースラインの構築
・ビートルズのフレーズ紹介♪
※各チャプターごとにビートルズの曲を紹介♪
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| タイトル | 内容 |
|---|---|
| ポールマッカートニーのベースラインを分析 | ・演奏スタイル ・フレージング |
| 歌うベースラインの構築 | ・メロディックな聴かせ方 ・歌うベース/歌わないベース |
| ビートルズのベースフレーズ集♪ | ・ビートルズのフレーズ紹介 ・タブ譜と演奏音源♪ |
※ポールマッカートニーの音楽についてはこちらの記事で→ポールの音楽に迫る・音作り・使用機材♪
それでは今日も行ってらっしゃい♪
ポール・マッカートニーのベースラインの特徴
ポール・マッカートニーは、ビートルズというバンドの中で「ただ土台を支えるだけではないベースプレイ」を築いた先駆者のひとりです。
歌メロと絡み合うような“メロディックなベースライン”を多く残しています。
ビートルズの楽曲を例に分析してみましょう♪
↓
[分析項目]
①歌に対するアプローチ/Paperback Writer(ペーパーバックライター)
②経過音/I Want To Hold Your Hand(アイワナホールドユアハンド)
③リズミックな柔軟さ/Don’t Let Me Down(ドントレットミーダウン)
④隙間を埋める/Hello Good Bye(ハローグッドバイ)
⑤ルート以外の音を使う/Getting Better(ゲッティングベター)
⑥音色/Think Of Yourself(シンクオブユアセルフ)
①歌メロに対するアプローチ/ペーパーバックライター
[Paperback Writer]
・ポールの作品
・ハイポジションからローまで広く動くベース
・ジョンとジョージのコーラスが順に重なる
・コード進行は”G→C”の繰り返し
歌メロと同じように動くベースのアレンジがされているのが特徴です♪
メロディとベースラインを合わせて見てみましょう。
↓


歌メロを意識してベースのリズムを合わせてる♪
この曲はポールがメインボーカルだね♪
②経過音/アイワナホールドユアハンド
[I Want To Hold Your Hand]
・ポールの作品
・初期の大ヒット曲
・ルート中心のシンプルなベースライン
コードからコードをつなぐ経過音がメロディになっているのが特徴です♪
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半音階で上がるところが経過音♪
一度半音下に動いてから上がってくラインだね♪
このアプローチは”ハードデイズナイト”でも使われています。
③リズミックな柔軟さ/ドントレットミーダウン
[Don’t Let Me Down]
・ジョンの作品
・終始動くフレーズでアプローチしている
・ビリープレストンがオルガンを演奏
符点8分音符と16分音符のリズムが特徴です♪
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サビの歌詞は「Don’t Let Me Down」だけなんだけど、その裏でベースがリズミックに動いている感じ♪
④隙間を埋める/ハローグッバイ
[Hello, Goodbye]
・ポールの作品
・スケール的なベースラインを使う
・”物事の二面性”について書いた曲
「You say yes, I say no. You say stop, I say go」
”歌メロが伸びたところ”や”音数が少ないところ”を”動くフレーズ”で埋める♪
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歌メロの続きにベースのメロディがある感じかな♪
⑤ルート以外の音を使う/Getting Better(ゲッティングベター)
[Getting Better]
・ポールの作品
・ジョンの「Can’t get no worse!(これ以上悪くなるはずがないさ)」という間違った歌詞が有名
・ジョージがタンブーラを演奏
・リンゴはドラムとコンガも演奏
[オンコードのアプローチ]
ポールのベースラインで使われるルート以外の音から始まるフレーズ♪
ベースラインの基本は「1拍目にルートを弾く」です。
ただこの曲では、
・コードの流れをスムーズにする
・メロディックに聴かせる
ために「ルート以外の音を1拍目に弾く」というアレンジが使われています。
↓


↑
ルート以外の音で始まる部分は、オンコードになるんだけど、ポールはオンコードって意識で弾いてない気がする。。。

・2小節目はDから見た5度
・4小節目はFからみた6度
この音が1拍目だと流れがスムーズになる♪
⑥音色/シンクオブユアセルフ
[Think Of Yourself]
・ジョージの作品
・この曲は、イントロから歪んだベース音が鳴っている
・クリーンなベースと2本重ねて録音されているのが特徴
[使用機材/ファズ]
・Vox Tone Bender(MkIもしくはMkII説あり)
・ギター用としても人気だったが、ポールはベースに使用

ファズを使った音はこんな感じです♪
↓
クリーンベースとファズを足すとこんな感じになります♪
↓

ファズで足りない低音域をクリーンなベースで足してるね♪
ポール・マッカートニーの歌うベースラインの構築
単に派手に動くのではなく、感情や表情を持って“歌っている”ように聴こえるベースラインが「歌うベースライン」です。
”ここでは歌うベース”と”歌わないベース”の違いを検証してみます。
「歌うとは、こういうことか!」と気付きがあればいいですね♪
ビートルズの楽曲を「歌うベースと歌わないベースの両方のアプローチ」で演奏して、比較しましょう♪
↓
[歌うベースラインの構築]
①All my Loving(オールマイラビング)/歌う?歌わない?
②Ob-la-di-ob-la-da(オブラディオブラダ)/歌う?歌わない?
③I Saw Her Standing There(アイソーハースタンディングゼア)/歌う?歌わない?
④Drive My Car(ドライブマイカー)/歌う?歌わない?
⑤歌う?歌わない?〜まとめ〜
※”歌わないベース”は、ルート中心のフレーズにしますが、ルート中心のベースラインがダメではないので、あくまで比較対象として検証していきます。
①オールマイラビング/歌う?歌わない?
[All My Loving]
・ポールの作品
・4ビートのウォーキングベース
・3連符とシャッフルのリズムのギター
4分音符でスケールを動くベースが特徴です♪
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”ウォーキングしないベース”だとこうなります。
↓


この曲のポイントは4分音符で動くラインだよね♪
初期の作品はウォーキングベースが多い♪
②オブラディオブラダ/歌う?歌わない?
[オブラディオブラダ]
・ポールの作品
・CMでもよく使われる
・レゲエ(スカ)風のアレンジ
”ルート→3度→5度”のラインとリズムパターンが曲の核になっています。
※ルート,3度,5度を”コードトーン”という
↓

※R=コードのルート
ルートのみにするとどうなるでしょうか?
↓


使う音は同じで動きの形が違います。
”歌いながら弾くため”にこのポジションになったのだと思われます。
③I Saw Her Standing There(アイソーハースタンディングゼア)/歌う?歌わない?
[I Saw Her Standing There]
・ポールの作品
・デビューアルバムの1曲目
・王道なロックンロール
ルート,3度,5度のロックンロールフレーズ♪
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動かないパターンと比べてみましょう。
↓


2小節ずっとルートだけのパターンになると、何か物足りないよね。
④ドライブマイカー/歌う?歌わない?
[Drive My Car]
・ポールの作品
・全編ジョンとのデュオ
・サビで入るポールが演奏するピアノも特徴的
16分音符のうねるフレーズがギターと絡む楽曲です。
↓

”8分音符で動かない”とどうなるでしょうか?
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符点16分音符のリズムが軽快さを出してる!
⑤歌う?歌わない?〜まとめ〜
という感じで”ポールの歌うベース”が入ることで、
・楽曲が立体的になる
・メロディが引き立つ
・色が出る
もちろん、ビートルズ全体を通してルート中心のベースラインが基本ですが、歌うベースが入る部分が絶妙なわけです。
さすがポール先生!
[注意するポイント]
・”動くベース”が”歌うベース”ではない
・メロディが弾き立って効果を出す
・ルートのみで合えば動く必要はない

「弾くところ」と「引くところ」が分かってるんだね♪
ビートルズのベースフレーズ集〜タブ譜でチェック♪〜
それでは、ビートルズで要チェックなベースフレーズを一気に紹介していきます。
「メロディック系」「弾きまくり系」「ウォーキング系」「ユニゾン系」の4つに分けてチェックしていきましょう♪
もちろん”ポールの音作り”もしてから演奏してくださいね!→ポールマッカートニーの音作り♪
[メロディック系]
・Something(サムシング)
・You Won’t See Me(ユーウォントシーミー)
・I’ve Got A Feeling(アイガッタフィーリング)
[弾きまくり系]
・Rain(レイン)
・Taxman(タックスマン)
・Nowhere Man(ノーウェアマン)
[ウォーキング系]
・Panny Lene(ペニーレイン)
・Eight Days A Week(エイトデイズアウィーク)
・Tell Me Why(テルミーワイ)
[ユニゾン系]
・Day Tripper(デイトリッパー)
・Lady Madonna(レディマドンナ)
[弾かないアプローチ?]
・A Hard Day’s Night(ハードデイズナイト)
Something(サムシング)
[Something]
・ジョージの作品
・”ポールの名フレーズ”にあげられる代表曲♪

※3小節目1拍目はCから見た5度の音
後半のベースもメロディック!
↓

※3小節目2拍目からスケール下降
[歌うポイント]
・ミドルポジションのフレーズ
・歌以外のメロディをベースで弾く
・この曲は重いビートを必要としない

おそらく、歌メロを聴きながら”もう一つのメロディ”を作ったんだと思う。
だって、コード進行を無視してるからね(笑)
You Won’t See Me(ユーウォントシーミー)
[You Won’t See Me]
・ポールの作品
・ポールはピアノも演奏
・サビの「ウーラララ」のコーラスが特徴

[歌うポイント]
・2拍目ウラのシンコペーション
・オクターブ上まで使って動きをつける
・下降ラインはスケールを使う

「ユーウォンシーミー」のリズムに合わせてベースも動いてるよね♪
I’ve Got A Feeling(アイガッタフィーリング)
[I’ve Got A Feeling]
・ポールの作品
・後半でジョンが作るメロディが重なる
・ポールのハイトーンボイス

[歌うポイント]
・3、4拍目に16分音符フレーズ
・マイナーペンタトニック的な動き
・3小節をルートで引っ張るから効果がある

このベースラインは、僕のオリジナル曲でパクった(笑)
Rain(レイン)
[Rain]
・ジョンの作品
・ミドルテンポの16ビート
・コード進行はG→C→Dの繰り返し

[歌うポイント]
・ペンタトニックスケールの動き
・1、2拍目で次の動きを考える
・8→9→10フレットの流れは経過音

1、2拍目は4分音符や符点8分のリズムで、その後を16分音符で埋める感じだね♪
Taxman(タックスマン)
[Taxman]
・ジョージの作品
・ポールがギターソロを演奏
・ビートルズ初の政治的な曲

後半もウネウネしてます♪
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[歌うポイント]
・休符後のタイミングをつかむ
・ゴーストノートが16ビート感を出す
・2弦→1弦の移動を練習!

かなり速い動きだね。
フィンガリングの練習が必須!
→運指練習の紹介♪
Nowhere Man(ノーウェアマン)
[Nowhere Man]
・ジョンの作品
・ジョン,ポール,ジョージ3人のハーモニー
・ジョンの哲学的な歌詞が特徴

[歌うポイント]
・ワンポジションで弾けるフレーズ
・6フレット人差し指、9フレット小指
・シンコペーションのリズムに乗る

かなり動きが多いけど、ライブではここまで弾いてないかな♪
Panny Lene(ペニーレイン)
[Panny Lene]
・ポールの作品
・リバプールにある通りの名前
・管楽器が入るオーケストレーション
・ピッコロトランペットのソロ

[歌うポイント]
・下降を使ったウォーキングベース
・3小節目1拍目はC#mに対してマイナー3度の音
・ウォーキングと伸ばす音で緩急をつける

3段目のフレーズは、1段目のフレーズをオクターブ下からスタートさせてる♪
Eight Days A Week(エイトデイズアウィーク)
[Eight Days A Week]
・ポールとジョンの共作
・リンゴの「週に8日も仕事だなんて…」という言葉がきっかけ
・ライブでの演奏は1度きり
・約50年後、2013年にポールのコンサートで演奏される

[歌うポイント]
・王道なロックンロールパターン
・ルート→3度→5度の上行ライン
・ルート→6度→5度→3度の下降ライン

ブルースのベースでも使われるラインだよ♪
Tell Me Why(テルミーワイ)
[Tell Me Why]
・ジョンの作品
・アップテンポなロックンロールナンバー
・シャッフルのリズム

[歌うポイント]
・2小節目まで下降、3小節目”E”の音はオクターブ上から下降
・スケールの動きを把握する
・各小節、中指か小指から始めるとワンポジションで弾ける

スケールで下がりきれなくなったら、オクターブ上げるって発想も大事だね♪
Day Tripper(デイトリッパー)
[Day Tripper]
・ジョンの作品(1部ポール)
・イントロのギターが印象的
・ジョンは「『デイ・トリッパー』はドラッグソング」と説明している
・「ドラッグでトリップする人」という意味

[歌うポイント]
・ギターとのユニゾンフレーズ
・2小節目11フレットへはスライド気味に動く
・1段目5フレット,2段目3フレットは”ブルーノート”

7thコードで”ブルーノート”を使えるようになると、ロック色やブルージーさが出せるよ♪
→ブルーノートについて解説♪
Lady Madonna(レディマドンナ)
[Lady Madonna]
・ポールの作品
・ピアノのリフはハンフリー・リッテルトンの”バッドペニーブルース”がモチーフ
・ポールの歌声は”ファッツドミノ”の物真似
・間奏でブラスセクションが入る


[歌うポイント]
・ピアノの低音フレーズと同じ動き
・1小節目の3フレットがブルーノート
・前半の上行ラインに対し、後半は下降ライン

シンプルだけどフレーズの展開が曲の流れになってる♪
A Hard Day’s Night(ハードデイズナイト)
最後に「弾かないアプローチ」をした曲を紹介します。
[Hard Day’s Night]
・ジョンの作品
・ビートルズ主演映画の表題曲
この曲は、”ビートルズアンソロジー”というアルバムでリハーサル音源(デモ音源)が聴けます。
その音源で弾いているベースラインと実際にリリースされた音源は少し違います。

ベースは16分音符で細かいフレーズを弾いてる部分があるんだけど、アルバム音源では8分音符になってるんだ♪
↓

弾きすぎた音を減らして”弾かないフレーズ”に変えたみたいですね♪
これもアレンジの大事なところです。
”音を多く弾くことがアレンジではない”とわかります。
ポールマッカートニーのベース解析〜まとめ〜
ということで「ポールマッカートニーのベースライン」でした!
ポールのメロディックなベースラインを紹介しました♪
分析の項目では?
・歌に対する裏メロ的なフレーズ
・軽快なリズムスタイル
・曲やメロディの隙間を埋める
・丸いトーンの音色
・エフェクターを使う歪みサウンド
比較の項目では?
・”歌うベースと歌わないベース”の比較
・シンプルすぎるラインも楽曲の良さを下げてしまう
そして、アイデアの多さ。
おそらく、ベースラインを作ることも作曲の一つと捉えているのでしょう。
それが「歌うベースライン」です!
ビートルズにあったアプローチは、ジョンとジョージのギターとリンゴのドラムがあって成り立つわけで、ベースだけで成り立つわけではないですよね。
・バンドに対して自分のベースアレンジはどうか?
・弾きすぎてないか?
・奏法は?
・音は?
例えば、
”ヘイジュード”がこの演奏だと、どうですか?
↓
いや〜、スラップはいらないかな。。。
って思いますよね?
「その楽曲の一番合うアレンジ=テクニックを駆使する」ではないということです。
・自分のスタイルでのアプローチ
・バンドにあったアプローチ
・楽曲にあったアプローチ
ベーシストとして、バンドメンバーとして、心がけたいですね♪
ポールは、わかっています。
もちろん、ビートルズのメンバーも!
すべては、ビートルズのために♪
ってことで「ポールのベースは全部聴いて弾いてね〜♪」
神様ポール。
スラップ、速弾き、タッピング。
ポールのベースに、
テクニックはいらない。
楽曲に合うアプローチができるかだ。
弾きすぎてないか?
歌わなすぎじゃないか?
また会おう♪







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